皆さんはUnreal Engineというゲームエンジンをご存知でしょうか?
ゲームエンジンとはゲームを作るために必要な機能を一通り備えたゲーム開発ソフトのことであり、Unreal Engineはその代表格です。
Unreal Engineを使うことで素人でも本格的なゲームを作ることが可能になるため、最近注目が集まっています。
またUnreal Engineは近年ゲーム制作だけでなく、航空宇宙、自動車、土木、映像などの様々な業界において使用されており(Unreal Engine公式サイト:最先端の活用事例の紹介)
就職や転職の際にUnreal Engineのスキルを持っておくと有利になる可能性もあります。
今回はそんなUnreal Engineの特徴と、開発元であるEpic Gamesについて簡単に解説しようと思います。
下調べをして書いていますが、もしかすると間違っている部分があるかもしれませんので、もしその場合はよろしければご指摘お願い致します。
ゲームエンジンについて詳しく解説
Unreal Engineについて説明する前に、まずはゲームエンジンというものが何なのか説明したいと思います。
書いてみたら気合が入りすぎて長くなってしまったので、全然スルーしてもらって大丈夫です。
ゲームエンジンが必要な理由
販売できるレベルのゲームを製作するためには様々な機能が必要です。
そうした機能を一々ゲームを作るた度に実装していたのではとんでもない手間がかかります。
そこで基本的な要素をゲームエンジンとして統合しておくことで、高度なゲームでも短期間で製作できるようになります。
よって今ではゲーム製作には大抵の場合ゲームエンジンが使われています。
どのようなゲームエンジンを使用するか
ゲーム製作会社は自前のゲームエンジンを持っているか、あるいはUnreal Engineのような一般ソフトを使用しているかのどちらかです。
自前のゲームエンジンを使用することのメリットとデメリットについて考えてみましょう
上を見ると分かるようにデメリットの方がどうしても大きく見えてしまいます。
ですが、一般に使用されているエンジンを使用すると、1つ目と3つ目のデメリットについては解消されます。
ゲームエンジンの代表格であるUnity、Unreal Engineはどちらも基本的に無料で導入できます。
フリーランスの人からすると、自身の持っているスキルを活かせるので高待遇が望める上に、その後のステップアップへと繋がる経験を積むことが出来ます。
以上のように、一般に公開されているゲームエンジンを使用することのメリットは大きいので、最近では有名タイトルもゲームエンジンを用いて製作されていることがあります。
そこで代表的なゲームエンジンと、それらによって作られたゲーム一覧について見てみましょう。
ゲームエンジンの種類
ゲームエンジンはいくつか種類がありますが、ここでは4つほど紹介しようと思います。
Unreal Engine
この記事で紹介しているゲームエンジン、Unreal Engineです。
Epic Games社から提供されており、圧倒的に美麗なグラフィックと機能性の高さから近年人気を高めています。
Unreal Engineを用いて製作されたゲームの一例としては次のものがあります。
- Fortnite
- Ark
- VARORANT
PCでのプレイがメインになる重量級のソフトが多い印象です。
Unity
代表的なゲームエンジンとしてUnreal Engineと双璧を成すのがこのUnityです。
Unity Technologies社から提供されており、Unreal Engineほどの美しいグラフィックや機能性はないものの、シンプルで扱いやすいこと、利用者が多いため学習もしやすいことから長年人気があります。
Unityで製作されたゲームには次のようなものがあります。
- Fall Guys
- 原神
- ウマ娘
多くのプラットフォームに対応しているため、PCゲームやスマホゲーム、Nintendo Switchのようなコンソール機まで、幅広い機種のゲーム製作に使用されています。
Cocos2d-x
この記事を作成するにあたって色々と調べてその存在を知ったのですが、主にスマホ向け2Dゲーム開発に使われるエンジンです。
Chukong Technologies社から提供されており、完全無料かつオープンソース(ソフトウェアを構成しているプログラムが公開されているため、誰でも自らが使いやすいように改造が可能)なので、製作の自由度はとても高そうです。
Cocos2d-xで製作されているゲームには以下のようなものがあります。
- モンスターストライク
- LINE:ディズニーツムツム
- 剣と魔法のログレス
人気のスマホゲームの製作にも使われています。
Roblox
日本での知名度はあまり高くありませんが、海外ではとても人気のあるプラットフォームです。
世界中の人によって作られた様々なジャンルのゲームを遊ぶことができるとともに、Roblox Studioを使うことで、自身でゲームを作って投稿することもできます。
このゲームを作るという工程がプログラミングやデザイン能力、3DCG技術の教育に使われていることもあります。
ゲームエンジンというには少しずれるかもしれませんが、ゲームを製作できるプラットフォームがあるということで紹介しました。
少し長くなりましたが、以上がゲームエンジンというものについての概要説明でした。
次からは本命のUnreal Engineの解説に入ります。
Unreal Engineの特徴①:圧倒的なグラフィック
Unreal Engineの特徴はまず圧倒的なグラフィックの綺麗さにあります。
上の動画はもはや現実の世界のようにしか見えませんが、これは全てUnreal Engineによって作られた仮想の世界です。
ゲームエンジンはUnreal EngineとUnityの2者が競い合っていますが、Unityではこれほどのグラフィックのゲームを作ることができません。
そのため最高レベルのグラフィックを持つゲームを作りたいという人はUnreal Engine一択になります。
また、Unreal Engineはゲーム制作だけでなく、3Dワールドの構築にも使うことができます。
これほどのグラフィックであれば映画やPVなどにも使えるでしょうから、先述の通りゲーム以外での分野での導入が進んでいるのです。
今後さらにUnreal Engineが進化すれば現実世界と仮想世界の見分けは付かなくなるかもしれませんね。
Unreal Engineの特徴②:高度な機能の数々
Unreal Engineは単純にグラフィックが美麗なだけでなく、ゲームを作る際に使用する機能もとても高度なものばかりです。
例えば、以下の動画で紹介されているNaniteという技術について見てみましょう。
コンピューターの中に作成する3Dワールドが大きくなればなるほど、当然ながら必要なデータ量は膨大になります。
それを画面上に表示するだけでもPCに相当な負荷がかかります。
その負荷を軽減してくれるのがこのNaniteという技術です。
NaniteをONにすることで、自分の視点から遠くにある物体の解像度が小さくなります(正確には物体を構成するポリゴン数が減る)
解像度が小さくなると当然PCがそれを表示するために必要なリソースは減少します。
そして私達からしても、元々遠くに小さくしか見えていなかった物体の解像度が変化したところでほとんど体感上の差はありません。
すなわちNaniteを使用することで実用上の差異なくPCにかかる負荷を軽減できるのです。
しかもNaniteが凄いのはこれを完全自動でやってくれるという点。
ぶっちゃけ私はこの機能が必要なほどUnreal Engineを使っていませんし、Naniteが存在しない時代も知らないのであまり体感できていないのですが、プロのクリエイターからすると相当な時短になるらしいです。
ピンと来ないという方も、とりあえず「かがくのちからってすげー!!」ってことです。うん。
これ以外にも様々な高度機能を使うことが出来ます。
例えば↓のMetaHumanは、イラストを描かずともとてもリアルな人間アバターを使用できる機能です。
まじでリアルすぎる・・・かがくのちからってすげー!!!
↓はLumenという技術で、簡単に言うと自分で設定しなくても現実世界と同じような光の当たり方を再現できる機能です。
これもNanite同様クリエイターにとっては革命のような機能らしいです。
かがくのちからってすげー!!!1
Unreal Engineの特徴③:格安な料金体系
これほどの高機能なソフトなら値段の方もお高いのでは?と思われるかもしれません。
ですがなんとこのUnreal Engine、基本的には無料で使えてしまうんです!!!
うせやろ工藤!って服部平次も言っていましたが本当なんです。
ただ「基本的に」と書いたように、お金がかかる場合もあります。
Unreal Engine公式サイトのライセンスオプション部分から、価格についての記述をまとめると概ね次のようになります。
- ダウンロードは無料
- 学習目的での使用、及び内部向けの使用(例えば会社内部のみでの使用)などについても無料で使用可
- 映画やテレビ番組のような商業プログラム目的での使用は無料
- Unreal Engineを用いて製作したゲームなどの市販向け製品については、その売上が100万ドルを超えると5%のロイヤリティ支払義務が発生
- 収益目的ではない、あるいは売上が100万ドルを超えない場合はロイヤリティ支払いは不要
- その他企業やプロクリエイターなどで、開発元のEpic Gamesからの技術サポートなどを必要とする場合は、個別に「エンタープライズライセンス」「カスタムプログラム」として契約を行う。
ざっと上の通りです。
個人で使用する場合は基本的にゲームの売上が100万ドルを超えるか、ということを意識しておけばOKです。
100万ドルは日本円にすると1億円くらいになってくるので、個人で到達することは厳しいと思いますが・・・
よって「基本的に」無料で使用できるということになります。
このレベルのソフトが無料で使用できるというのはもはや罠の存在を疑いますが、当然ながらEpic Gamesも営利企業なので、これほどの大盤振る舞いをするには理由があるはずです。
その理由については次の項で考察しようと思います。
Epoic Gamesの狙い
なぜEpic Gamesは高機能ソフトを無料で使用可能にするのか、その理由について考察してみましょう。
主に考えられる理由は次の3つです。
- 多様な収入源の存在
- 次世代クリエイターの囲い込み
- バックにある大企業からの資金援助
これらについて一つづつ見ていきましょう。
多様な収入源の存在
Epic Gamesが手掛ける事業はUnreal Engineだけでなく、ゲームプラットフォームの運営や、ゲームそのものの開発、運営など様々です。
代表的なものはFortniteでしょう。
2017年にリリースされてから、FPS系ゲームの中ではトップクラスの人気を誇るゲームです。
Fortniteは基本プレイこそ無料ですが、コスチュームなどを課金で購入することができ、この課金による収入がとても大きいです。
なんと2018年と2019年の2年間でFortniteだけで1兆円以上の収益が出たらしいです・・・ヤバスギィ
また、同2年でゲームプラットフォームであるEpic Games Storeは約260億円、Unreal Engineも約240億円の収益を生み出していたとか・・・(出典:GigaziNE『1兆円の収益をフォートナイトが2年で上げていたことが判明』より)
Fortniteの人気は2020年以降のコロナ禍で更に伸びていたことを考えると、おそらく今ではこれ以上の売上を叩き出していることは間違いないでしょう。
このようにBtoB、BtoC問わず複数の収益源が存在し、それら全てで大成功を収めている、Epic Gamesはそんなバケモノ企業なのです。
この安定した資金力から、多少Unreal Engineで赤字が出ようが大丈夫ということだと思います(Unreal Engineもバリバリに収益源っぽいですが)
次世代クリエイターの囲い込み
ゲーム製作ソフトとして現在その地位を高めつつあるUnreal Engineですが、Epic Gamesはさらに先を見据えているように思います。
それが「メタバース時代での覇権的な地位の獲得」です。
メタバースについては詳しく話すと長くなるので、とりあえず「コンピュータ上に現実と同じような3次元の世界を生み出す技術」と考えていただければOKです。
現在のトレンドはYouTubeの動画に代表される2次元のコンテンツであり、メタバースは次のトレンドとして注目されています。
今の2次元コンテンツの時代においてクリエイターの心を掴み、業界のトップに立っているのがAdobeです。
動画編集のPremire Pro、写真編集のPhotoshopを筆頭に、プロのクリエイターの殆どはAdobeソフトを使用しています。
Epic Gamesは来るメタバースブームのときに、このAdobeの後釜の地位に座ることを狙っているのだと思います。
Unreal Engineは序盤で述べたように3Dワールドの構築にも使えるので、当然メタバース時代において使われるソフトです。
そこで今の段階からクリエイターに格安でUnreal Engineを使用してその沼にどっぷりと浸かってもらい、メタバースブームが到来したときに皆に使ってもらうことを狙っているのではないでしょうか?
あくまで私の予想であり、さらに今の話は大半↓の本を読んで得た知識なので、詳しく知りたい方は↓の本の1章を読んでみて下さい。
バックにある大企業からの資金援助
これはややグレーな話になるのですが、一応これも言っておこうと思います。
まずはEpic Gamesの株式保有比率を御覧ください。
創業者と1社で90%の以上の株を所有している訳ですが、これはEpic Gamesが非上場企業だからこそできる芸当でしょう。
この40%を保有するテンセント、皆さんも一度は名前を聞いたことがあるかもしれませんが、中国で最も巨大な企業です。
メインの業種はIT、特にゲームですが、それ以外にもサービス、広告、金融など様々な分野に手を広げています。
日本で言うとソニーが最も近い会社と言えるでしょうか?
そんなテンセントから40%に相当する株、すなわち資金援助があるのがEpic Gamesの強みの一つと言えるでしょう。
ですがこの大量の株式保有によって、「Epic Gamesは実質テンセントの子会社なのではないか」と言われることもあります。
一応テンセントに経営の決定権は無いらしい(どこかで見ただけで確証はない)ですが、それでもテンセントの存在を疑ってしまうような事件が2020年に起こっています。
それがEpic GamesがAppleに対して起こした裁判沙汰です。
詳しい内容は話すと長くなるので割愛しますが、Appleといえば言わずと知れた世界一の大企業です。
テンセントも中国においては相当強い企業ですが、全世界に影響力を持つAppleには敵いません。
そんなAppleに対してテンセントが背後にいるEpic Gamesが喧嘩を吹っ掛けた・・・
全く根拠のない話なので話半分に聞いてもらったら良いのですが、ちょっと恐くもあり面白いと思いませんか?
こうした巨大IT企業の小競り合いや買収したされたは、今後の世界のトレンドを占う大事な指標になります。
今度この内容で書いてみようかなと思います。
まとめ
Unreal Engineの特徴と、ゲームエンジンや開発元のEpic Gamesについて解説しました。
私自身Unreal Engineを使いこなせているわけではありませんが、最高のソフトだというのは使っていくほどに感じています。
皆さんも是非一度使ってみて下さい。(Unreal Engine公式サイト:Unreal Engineをダウンロード)
今回は以上です。
このブログではライトノベルや漫画、ゲーム、パソコンなどのいわゆる「オタク」的な趣味についてオタク大学生のブログ主が適当に感想などを垂れ流す記事を書いております。よければ他の記事もご覧ください!
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